調律料金ってどれくらい?

ピアノの調律って、どれくらいの費用がかかるの?しばらく頼んでいないので、いくらかかるのか分からない…、ものすごく高かったらどうしよう…、と思われる方は多いと思います。

ここでは、調律料金の目安など、皆様が調律を頼む前に料金を想像しやすくなるようなお話をしたいと思います。

 

基本的な調律作業の料金

調律師の作業には、大きくわけて幾つかの種類があり、それぞれの種類の中にも様々な作業工程が存在します。

(詳しくは→『調律はなぜ必要なのか?のお話』を参照)

その中でお話している【広い意味での“調律”を頼む】の場合についての料金目安を、まずはお話したいと思います。

定期的に実施する場合の調律料金

半年毎・1年毎などの期間で定期的に実施している調律のことは、【定期調律】と呼ぶことが多いです。ピアノには定期的なメンテナンスが欠かせないことから、調律師側から目安の時期になると連絡を入れたり、所有者の方から依頼を行なったり、一定の期間で調律を繰り返して行く場合に多くの調律師・会社において設定されている料金です。

定期的に行なうことで、ピアノの状態が悪くなりすぎる前に良い状態へと戻すことが出来るため、ピアノにとっても状態が落ち着きやすく、調律師にとっても小さな変化も見落とさずに済み、より細かな調整も可能になるため、双方にとってメリットがあります。

一般的には、数年調律をされていない状態のピアノよりも調律料金は安く済むことが多く、調律師・会社側でもそのような料金設定をしている場合が多いです。

【料金目安】¥10,000前後~¥15,000程度

※この金額に別途出張料金、除湿剤代金など必要な料金は調律師・会社によって様々です

※1年毎の定期調律時の目安です ※調律師・会社ごとに定期調律期間や料金の設定が違いますので、参考の金額です

前回より年数が経過している場合の調律料金

前回調律より年数がかなり経過している、調律師・会社で設定している定期調律期間を超過した場合の料金については、定期調律より高くなる場合が多いです。調律していない期間が長くなればなるほど、音の狂いが大きくなる・アクションの状態が悪くなるなど、作業の手間が増え、時間も長く必要になる場合が多いことから、料金も高くなる場合が多いです。

前回調律からの経過年数ごとに料金が設定されていたり、状態をみてからの判断(御見積)となる場合が多いですが、中には経過年数に関わらず一律料金で調律を行なう調律師・会社もあり、それぞれ料金には大きな違いがあります。

【料金例】

 調律師A 前回調律からの経過年数1年毎に、基本料金に+¥1,000ずつ(上限¥20,000)

 調律師B 前回の調律から5年以内→一律¥15,000・5年以上10年未満→¥20,000・10年以上→¥25,000

 調律師C 何年あいていても一律¥10,000!

などのように、調律師・会社によってその基準・割増の度合いにも大きな違いがありますので、調律依頼前に確認が必要です。

 

調律作業以外に必要な料金

一般的な調律料金目安については、上記が参考となりますが、調律以外にも料金が必要となる場合があります。次は、その種類についてをお話したいと思います。

動作不良などで修理が必要な場合の料金

定期調律を行なっていても、前回の調律から年数がかなり経過していても、修理が必要となることがあります。使用する中での部品劣化であったり、温度・湿度の環境変化に起因するものであったり、虫害や鼠害の発生であったり、修理が必要となる場合の原因は多岐にわたります。ここでは、代表的な故障と簡単な説明・それに対する修理作業・料金目安についてお話します。

【バットスプリングコード断裂修理】ひも状部品の劣化による断裂でハンマーの動作が悪くなる為、紐貼り替えが必要→全鍵で¥30,000程度

【ブッシングクロス劣化・貼替】 鍵盤に貼り付けてあるフェルトが磨耗により鍵盤動作が不安定になる為、貼り替が必要→全鍵で¥50,000程度

【センターピン交換】 アクション回転部分で摩擦が大きくなるなどで動きが悪くなる為、交換が必要→1鍵¥500程度・全鍵¥40,000程度

【断線修理】弦が切れているため、新しい弦に張替が必要→1鍵¥5,000~¥15,000程度(断線部分により必要な弦が異なる為料金に差があります)

【虫・鼠にクロス・フェルトが食べられた!】ピアノ内部のパーツが無くなっている…交換→¥10,000~¥100,000程度(虫食いの範囲・程度によります)

 ※あくまでも目安です。それぞれ程度・範囲により料金は変わります。また、調律師・会社ごとに料金設定に違いがあります。

以上のように、通常の調律以外の作業が必要な状態になっている場合には、別途修理料金が必要となります。音はひとまず鳴っていても、内部を確認すると修理が必要な場合もあります。音が鳴らない場合でも、調律時の調整のみで改善する場合もありますので、ピアノが中でどうなっているのか?は、外見や症状の一部だけでは全てを判断することはなかなか難しいのが実情です。ですので、通常は内部を確認してからの御見積となることがほとんどです。

整調(調律時作業だけでは完了出来ない状態や作業の場合)

通常、調律時にはアクション・鍵盤の状態を確認し、動作に問題があったり、バランスが悪かったりする場合には、調整を行ないます。ただし、調律作業としての時間内で可能な範囲については調律料金内で作業を行ないますが、別途長時間の作業が必要な状態である場合には、別途料金が必要となります。整調は20を超える工程があり、その工程×88鍵の確認・調整が必要でもあり、全てを行なう為には丸1日~の時間が必要となる場合も少なくありません。調律時に“ついでに”行なう整調は、あくまでも演奏上大きな支障が出ないように行うものであり、ピアノの理想の状態に保持する為には当然時間が足りません。

ホールなどが所有するピアノでは、毎年保守点検として2~3日程度の時間と費用をかけて調律・整調・整音を行なっています。ピアノを理想の状態にするためにはそれ位の時間が必要であり、その作業を別途行なうためには費用も別途必要となってしまいます。ただ、それだけの時間をかけて作業を行なうことでピアノの力も存分に引き出され、より弾きやすく表現しやすいピアノになります。ホールのように毎年保守点検を行なうのは難しくても、数年に1度くらいの頻度で費用と時間をかけて整調を全工程実施することで、ピアノはより良い状態を保ちやすくもなります。

調律師は、各工程を調律時に少しずつ作業を行なってもいますが、上記のように時間・費用を頂いての作業を提案する場合もあります。また、ピアノ所有者の方でピアノの力をもっと引き出して欲しい!とお考えの場合には、調律師に相談してみて下さい。

【料金目安】丸1日必要な作業で¥30,000~¥50,000程度、数時間の作業で完了する場合には1時間あたり¥5,000~程度の費用が目安です。

 ※作業料金は、調律師・会社ごと、作業内容・必要時間で大きく変わります。

整音

『調律はなぜ必要なのか?のお話』のページで、調律師の作業には大きく分けて【整調】【調律】【整音】と3つの作業がありますとお話していますが、調律と整調については既にお話しました。そしてここからが最後の【整音】についてのお話です。

【整音】とは音色のバランスを整える作業で、ハンマーフェルトの表面や硬さなどの状態を調整する事で音色を変化させます。作業内容は、ハンマーを削り形を整える“ファイリング”、ハンマーの硬さ・弾力を調整する“ボイシング”に分けることができますが、音色・ハンマーの状態に合わせて必要な作業を行ないます。

ハンマーフェルトは使用し続けることで徐々に変形し・硬くなり弾力も無くなって行きます。それと同時に音色も硬く奥行きがないものへとなり、耳障りで表現の幅が狭い音へと変化してしまいます。ハンマーフェルトには弦が当たる部分に溝が出来、使用を重ねることで溝は深くなり、それは音色のバラツキの一因にもなります。それらの変化を改善するための作業が“ファイリング”と“ボイシング”で、それらを一まとめにして【整音】と呼んでいます。

ハンマーフェルトの状態にもよりますが、“ボイシング”のみで改善が可能な場合には数時間~半日程度の作業、“ファイリング”が必要な場合には1~2日程度の時間が必要となります。“ファイリング”実施時の方が作業時間が長くなるのは、ハンマーフェルトを削ることでハンマーフェルトの大きさも変わる為、アクション全体の調整【整調】も必要となり、“ファイリング”後には必ず“ボイシング”も実施するためです。

【料金目安】“ボイシング”のみの場合で¥10,000~¥20,000程度、“ファイリング”が必要な場合には¥30,000~¥60,000程度

 ※ただしこちらも、調律師・会社ごとに料金設定が異なり、作業内容・必要時間でも大きく変わります。

 

料金も作業内容も、調律師ごとに違いがあります。だからこそ相談することが大切。

様々な作業について、それぞれの内容・料金目安についてお話しましたが、あくまでも目安でしかありません。料金や作業内容、もっと言えばその作業がどのように、どの程度必要か?ピアノの状態に対しての考え方・状態の捉え方、その全てに於いて調律師ごとに判断・料金に違いがあります。

多くの調律師に話を聞くことで、ピアノの現状に必要な作業・費用がより明確になりますが、それはなかなか簡単な話ではありません。でも、【ピアノ調律マッチング.com】なら、沢山の調律師に簡単に質問することが出来ます。調律師詳細画面の【Q&A情報】欄には、過去に受けた質問と回答が表示され“質問るす”の欄に質問内容を入力すれば、調律師からの返事を貰うことも可能です。

ピアノ所有者の方が求める作業、それを行なってくれる調律師を探す、【ピアノ調律マッチング.com】ではそれが可能です。是非ご利用下さい。